Resources
Resources
バーンレートとは?マイナスのキャッシュフローを減らすために

バーンレートとは、企業が保有する資金(キャッシュリザーブ)をどれぐらいの速さで消費しているかを示す重要な財務指標です。これは、事業の初期段階にある場合、投資を求めている場合、事業を拡大している場合、または赤字で運営している場合にとりわけ重要となります。バーンレートを定期的にモニタリングし、しっかりと把握することで、適切な財務判断を行い、コストを管理し、計画的なビジネスの成長が可能になります。とくに経営が不安定だったり、危機的状況の中ではさらに重要になります。
バーンレートが高いことは必ずしも悪いことではありません。明確な成長戦略と十分な資金がある場合には前向きな指標ともなりますが、大切なのは、その数値が事業の目標に沿っており、持続可能性を維持しているかどうかです。
ここでは、バーンレートの算出方法と、バーンレートおよび財務の安定性を改善するためのステップをご紹介します。
バーンレートの算出方法
この計算には3つのステップがあります。
- 測定したい期間を選びます(月、四半期、年間など)
- 設定した期間の期首と期末における保有資金(キャッシュ残高)を確認します
- 期首の残高から期末の残高を差し引きます。これにより、その期間に消費されたコスト、すなわちバーンレートが算出されます
バーンレートを算出することで、事業の財務健全性に関する貴重な洞察を得ることができます。
ゼロキャッシュデートの算出
ゼロキャッシュデートとは、収入およびバーンレートが変わらないと仮定した場合に、事業の資金が尽きる日付を意味します。これは資金を調達したり、キャッシュフローを黒字化するための猶予期間でもあります。 ゼロキャッシュデートは下記の3ステップで算出することができます。
- 現在の保有資金を把握します
- 先に算出した月次のバーンレートを用います
- 現在のキャッシュ残高を月次バーンレートで割ることで、資金がゼロになるまでの残り月数が算出されます
例:現在のキャッシュ残高が10,000ドル、月次バーンレートが1,000ドルの場合、収入・支出に変化がなければ10か月で資金が尽きることになります。実際には収入や支出は変動しますが、おおよそのキャッシュ枯渇時期を知ることは、戦略的な意思決定に役立ちます。
1. バーンレートを削減する
緊急に資金を確保する必要がある場合には、可能な限りコストを削減しつつ、事業の継続を図ることが重要です。
具体的には以下の方法があります。
- 使用していないサブスクリプションなど、不要なコストを削減する
- サプライヤーとの条件を再交渉する(賃貸契約やその他リースの条件見直しを含む)
- 従業員の労働時間を短縮する、あるいは人員削減を行う(ただしこれは最終手段とすべきです。人員削減は長期的な事業能力の低下につながる可能性があります)
- 利益を生まない事業部門を閉鎖する、あるいは一時的に縮小する
過去数か月分の請求書やクレジットカード明細を確認すると、不要な支出が見つかる可能性があります。今こそそれらを見直すチャンスです。
2. キャッシュリザーブを増やす
手元資金が多ければ、売上が減少した際にもより長く耐えることができます。赤字が長期化する兆しがあり、資金が早めに枯渇すると予測される場合には、追加で資金調達が必要となります。
従来の手段としては、事業融資、当座貸越、自身で追加出資を行うなどがありますが、他にも以下の方法があります。
- 未使用資産の売却
- 在庫レベルの削減
- 不良在庫の処分
- クラウドファンディングや外部投資家の募集
- 政府補助金や助成金の活用
可能であれば、定期的にビジネス用の積立を行ったり、必要時に資金を確保できる仕組みを整えておきましょう。
3. 支払いの延期
直近のバーンレートを抑えるために、支払いを後ろ倒しすることも選択肢となります。これは債務の存在をなくすものではありませんが、回復のための時間を稼ぐことができます。
例えば以下のような方法があります。
- 利子のみの返済に切り替える
- サプライヤーに分割払いや支払猶予を依頼する
- 税関連の支払いを繰り延べる
4. 新しい収益源を模索する
新たなビジネスチャンスを見出すことも重要です。例えば、事業の一部をオンライン化する、戦略的パートナーとのジョイントベンチャーを検討する、新たな顧客層を開拓する、あるいは事業そのものを再構築して新しい市場を探すといった方法があります。
次のステップ
- 定期的にバーンレートを分析し、基幹事業に悪影響を及ぼさずに削減可能なコストを特定する。
- 資産売却、クラウドファンディング、政府助成金の活用などを通じて追加資金を確保し、事業の継続期間を延ばす。
- サプライヤーや債権者と交渉し、支払い延期や条件変更を行い、キャッシュフローを柔軟に管理する。
- 新規ビジネス機会の特定、事業モデルの転換、新たな収益源の開拓などを通じて収入を増やす。
バーンレートとゼロキャッシュデートを算出することで、事業の財務健全性をしっかりと把握できます。それを踏まえ、必要に応じた対策を講じることで、収入が支出を下回る状況下においても事業を守ることができます。
※この資料に記載されている内容は、情報提供および教育を目的としたものであり、金融や法務、投資に関する助言を目的としたものではありません。本情報は一般的なものであり、特定の個人の状況を考慮したものではありません。ご自身の経済状況に関する具体的なアドバイスが必要な場合は、資格を有する専門家にご相談ください。
ハワイで注目のスモールビジネスや、ローカルビジネスの動向についてご紹介しています。