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企業の財務危機における5つの重要事項

すべての企業はそれぞれに特徴を持ち、危機に瀕した際に直面する課題も大きく異なります。だからこそ、万が一の時に支援機関に相談する前に、自社が取ってきた対応を記録しておくことが非常に重要です。そうすることで、支援機関は状況を的確に把握でき、より適切なサポートを提供できるようになります。
ここでは、企業が困難な局面にあるときに備えておくべき、5つの重要なポイントをご紹介します。これらは現状を整理するうえで役立つだけでなく、次のステップに向けて最適な意思決定を行うための指針となります。
1. キャッシュフローへの将来的な影響
危機が週ごとの入出金にどのような影響を与えるかを把握することが重要です。複数のキャッシュフロー・シナリオを想定することで、将来起こり得る事態を予測し、必要となる資金調達の水準を検討することができます。シナリオを検討する際には以下の点を考慮してください。
- 今後発生しなくなるコスト
- 回復に要する期間と、損益分岐点に達するために必要な売上高
- さらに削減可能な支出
- 損益分岐点に到達するために必要な収益
売上の減少に応じて、変動費(例:原材料費、売上原価)も減少しますが、固定費が大きすぎる場合、ある時点で特定の商品やサービスを継続することが経済的に不合理となる可能性があります。その場合、全体的なコスト基盤を下げる必要があり、人員整理、拠点移転、収益性の低い商品の廃止などを検討せざるを得ない場合があります。
各キャッシュフロー・シナリオごとに、現在および将来において事業を継続するために必要とされる意思決定を明確にしましょう。
2. サプライチェーンの状況
危機の影響を受けるのは自社だけではありません。重要な取引先や仕入先がどのような状況にあるのかを把握し、万一納品できなくなった場合に自社へ及ぶリスクを特定しましょう。とくに、代替が難しい独自の原材料や製品を扱っている場合には重要です。
代替供給元の計画を立て、既存の仕入先が対応できなくなった場合に備え、バックアップとして連絡を取っておくことを検討しましょう。
3. 追加資金の調達状況
新たに借り入れをする前に、社内に眠る資金を活用できる可能性を探しましょう。使用頻度の低い機械や車両を売却し、必要になった際にはリースで補うといった方法もあります。
追加資金を調達する方法には以下が含まれます。
- 事業の一部売却
- 過剰在庫や原材料の処分
- 自己資本の再投資
- 外部投資家の確保
危機において重要なのは、事業を継続することです。場合によっては、事業の一部を売却してでも資金を確保し、財務の健全性を維持することが必要になるかもしれません。 事業全体を見渡し、コア事業を損なわない範囲で不要な資産をできる限り現金化してください。
4. すでに講じた対応策
現在の危機に対して、これまでに講じてきた対応策をリスト化しておくことが有用です。例えば、政府支援の申請、仕入先との分割払い交渉、家賃や利息の支払い延期、売掛金の回収条件の見直し、あるいは従業員の勤務時間や給与の一時的な削減などが考えられます。
最終的には、自社が危機から事業を立て直せるかどうかを判断するための重要な意思決定を行う必要があります。
5. 将来の計画
新しい顧客層や市場を開拓し、新商品や新サービスを開発する、あるいは顧客への販売方法を変えることで、新たな収益源を確保できる可能性があります。どのような取り組みを実行し、事業を再び収益性のある状態に導くのかを明確にしましょう。
また、追加のリスクや負債をどの程度受け入れることができるかについても検討してください。将来の可能性を最もよく理解しているのは経営者であるご自身です。損失を広げないために撤退するべきか、それともこれまでの努力と情熱を基盤に事業を継続すべきかを決断する必要があります。
どのような対応をとる場合でも、その内容を記録に残し、できるだけ早い段階で銀行や業界団体、地域ネットワーク、投資家に連絡を取り、適切な支援を得られるようにしましょう。
次のステップ
- 複数のシナリオを想定し、キャッシュフローへの影響を評価してください。危機において損益分岐点を達成する、あるいは損失を最小化するために必要なコスト削減策や収益目標を特定しましょう。
- サプライチェーンの状況を分析し、主要な仕入先が供給できない場合に備えた代替計画を立ててください。代替供給先の確保や、製品・サービス内容の調整が必要かもしれません。
- 資産売却、余剰在庫の処分、外部投資家の確保などによって追加資金の可能性を検討してください。コア事業を守りながら事業を継続できる施策を優先しましょう。
- すでに実施した対応策を記録に残してください。財務面・業務面・人員面での変更や、申請した支援策なども含めて整理することが大切です。
危機対応には戦略的なアプローチと綿密な計画が欠かせません。これらのポイントを念頭に置くことで、現状を整理し、潜在的なリスクを特定し、将来に向けて強靭な事業運営の体制を整えることができます。早期の行動と意思決定の記録が、正しい選択と適切な支援の確保につながります。
※この資料に記載されている内容は、情報提供および教育を目的としたものであり、金融や法務、投資に関する助言を目的としたものではありません。本情報は一般的なものであり、特定の個人の状況を考慮したものではありません。ご自身の経済状況に関する具体的なアドバイスが必要な場合は、資格を有する専門家にご相談ください。
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